紹介から自然にお問い合わせへつなげたい専門家の方へ
もし新規のお客様をご紹介で増やしたいのであれば、これまでのお客様に「どなたか良い方がいたら紹介してください」とお願いする前に、整えていただきたいものがあります。それは、ご自身の仕事を第三者にわかりやすく伝えられる、たった一つの言葉です。
こんにちは。KUMATAN HOUSEの伊東祐希です。
本日は、集客のためにできることはやっている。ホームページも新しくした。慣れない発信も続けている。サービスの内容も見直してきた。それでも、新しいお問い合わせが思うように増えない。そのように感じておられる先生業・専門家の方へ向けて、お話しいたします。
お問い合わせが増えないとき、私たちはつい、「まだ発信が足りないのかもしれない」「もっと見せ方を工夫した方がいいのかもしれない」「新しい集客方法を始めるべきかもしれない」と考えます。
もちろん、発信することも、ホームページを整えることも大切です。ただ、すでに手を尽くしているのであれば、発信をさらに増やす前に、一度確認していただきたいことがあります。それは、あなたのことをよく知るお客様が、あなたの仕事を第三者にも分かる言葉で説明できる状態になっているかどうかです。
少し、思い出してみてください。
広告やホームページを見て初めてお問い合わせくださった方と比べて、お客様や知人の方から紹介していただいた方とは、不思議ととんとん拍子に話が進むというご経験はないでしょうか。こちらがあれこれ説明しなくても、最初からある程度の信頼の土台がある。
「この方なら一度、話を聞いてみてもよさそうだ」
という状態から、相談を始めてくださる。もちろん、紹介であっても「知人からの紹介だから、少し安くしてもらえるのではないか」と価格の相談が起きることはありますし、紹介されたからといって、必ずしも価値が正しく伝わっているとは限りません。それでも、まったく接点のない状態から始まるより、最初の警戒や不安が少なく、本題に入りやすいですよね。
だからこそ、「もっと紹介で広がっていけばいいのに」と、正直思ってしまうこともあるのではないでしょうか。
けれども、いざ紹介を増やそうとすると、手が止まります。これまで大切に関わってきたお客様に、改まって「紹介してください」とお願いするのは、どこか気が引ける。お客様との関係を営業のために使うようで、落ち着かない。
かといって、お客様が自発的に紹介してくださるまで、ただ待っているだけでは運任せのように感じる。お願いするのも違う。ただ待つのも違う。実は、この二つの間に、もう一つの道があります。
お客様に、誰かを紹介してもらおうとするのではありません。
お客様があなたのことを誰かに話したくなったときに、そのまま使える言葉を先に用意しておくのです。お渡しするのは、お願いではありません。お客様があなたの仕事の価値を、分かりやすく伝えるための言葉です。
本日は、お客様が「何がどう良かったのか」を自然に説明できる「たった一文」の作り方、そして、その言葉を実際のお問い合わせにつなげるために、ホームページやプロフィールのどこを整えればよいのか。この二つを、ご一緒に確認してまいります。
良い仕事ほど、お客様も言葉にできず止まる
「良い仕事をしていれば、お客様が自然と紹介してくださるはずだ。」そう思われるかもしれません。それは、決して間違いではありません。良い仕事は、紹介が生まれるための欠かせない土台です。
ただ、ここに見落とされやすい注意点があります。それは、良い仕事をしてきた方ほど、ご自身の価値がご自身にとって「当たり前」になっているということです。ですので、あえてこれまで言葉にしてこなかったり、一言で言い表すのが難しかったりします。
そして、同じようなことがお客様の中でも起きています。
お客様は、「あの方にお願いして、本当に良かった」とは感じてくださっている。けれども、お客様ご自身が感じてくださった価値を、的確に言葉で伝えることは案外難しいものです。
さらに、お客様が似た悩みを持つ方と出会うかどうかも、そのときにあなたのことを思い出してくださるかどうかも、うまく説明してくださるかどうかも、すべてがお客様の側に委ねるしかないため、どうしても運任せに感じてしまうのです。
お願いでも、運任せでもない、その間の道
そこで必要になるのが、第三の道です。
紹介のきっかけは、お客様に委ねる。けれども、紹介いただく時の言葉は、こちらで用意しておく。お客様に、誰かを探してもらう必要はありません。無理に行動してもらう必要もありません。ただ、自然な会話の中であなたを思い出してくださったとき、説明に困らない状態をつくっておく。
お渡しするのは、紹介のお願いではなく、お客様があなたの価値を伝えるための言葉。この考え方に切り替わると、紹介は押しつけでも、偶然でもなくなります。お客様との関係を大切にしたまま、こちらにもできることが生まれます。
お客様が言い直さずに使える一文のつくり方
では、お客様にお渡しする言葉とは、具体的にどのような言葉を用意すれば良いのでしょうか。ご紹介にお使いいただく一文には、次の四つの要素を入れます。
一つ目は、「どんな人が」。
二つ目は、「どんな状態で困ったときに」。
三つ目は、「どこまで支えてくれるのか」。
四つ目は、「どんな専門家なのか」。
この四つです。
それぞれを一つの文につなげると、次のようになります。
「どんな人が、どんな状態で困ったときに、どこまで支えてくれる、どんな専門家なのか」
ここで重要なのは、肩書きや実績から始めないことです。自分の仕事を一文で、と言われると、多くの方が最初に書こうとするのは資格や経歴です。
「〇〇歴20年」「認定資格を持つ専門家」「これまでに何百件を支援」こうした権威性を表す情報も、信頼を得る上では大切です。ただし、お客様が知人にあなたを紹介するとき、最初に使う言葉としては、必ずしも十分ではありません。
なぜなら、肩書きや資格だけでは、聞いた方が「自分に関係がある」と判断できないからです。強い言葉で注目を集めることよりも、「あの人に合いそう」と思い出してもらうことが大切です。
四つの要素を、実際の場面まで具体化する
四つの要素を、もう少し詳しく見ていきましょう。
まず一つ目は、「どんな人が」です。
ここで対象の範囲を広げすぎると、お客様は具体的な誰かを思い浮かべられません。紹介の場面では、多くの人に当てはまることよりも、誰かお一人の顔が浮かぶよう意識してみましょう。
たとえば、「業績に悩んでいる中小企業の経営者」「転職を考えている30代の会社員」「親の介護と仕事の両立が困難な方」といった形です。年齢や業種を細かく限定することが目的ではありません。お客様が「この方のことだ」と思い浮かべられる程度に、輪郭をつけることが目的です。
二つ目は、「どんな状態で困ったときに」です。
ここでは、実際に起きている場面まで具体的にイメージできるようにします。たとえば、「売上はあるものの利益が残らず、打ち手に悩む中小企業の経営者」「今の会社に不満はあるが、転職を決断できない30代の会社員」「介護の負担を職場にどこまで伝えるべきか迷っている方」といった形です。
三つ目は、「どこまで支えてくれるのか」です。
たとえば、先ほど挙げた中小企業の経営者の方であれば、どんぶり勘定の経営から脱し、数字をもとに課題と優先順位を整理し、迷わず経営判断ができる状態になる。といったように、ここでは実際に提供するサービスの内容だけではなく、サービスを受けた後にどのような状態になれるのかを具体的にします。
四つ目は、「どんな専門家なのか」です。
ここで初めて、肩書きや役割を置きます。「コンサルタント」「講師」「カウンセラー」「コーチ」といった、一般的に意味が伝わる言葉を使います。ここで無理に新しい肩書きをつくる必要はありません。聞いた方が意味を想像できない呼び名は、紹介するお客様に追加の説明を求めることになります。
違いは、珍しい肩書きで伝えるのではありません。どのような方を支えるのか。どのような状態で悩んでいるのか。関わった後に、どのような状態になれるのか。
この三つによって、価値が伝わるようにします。
ここまでの四つがそろうと、一文は単なる自己紹介ではなく、聞いた方が「誰に必要なものなのか」「どのようなときに相談すればよいのか」を判断できる言葉になります。
中小企業の経営者の方を支える専門家の方の例であれば、
どんな人が、「中小企業の経営者」
どんな状態で困ったときに、「売上はあるものの利益が残らず、何から見直せばよいか迷っている」
どこまで支えてくれるのか、「数字をもとに課題と優先順位を整理し、次の一手を判断できる状態まで」
どんな専門家なのか、「経営支援の専門家」
といった4つの要素をまとめると、
売上はあるのに利益が残らず、何を見直せばよいか悩んでいる中小企業の経営者の方に、数字を整理して次に何をすべきか判断できる状態まで支えてくれる経営支援の専門家。
といった一文になります。
紹介は、名前を伝えたところでは終わらない
ここまでで、お客様があなたの価値を伝えるための言葉ができました。
ただし、言葉をつくるだけでは、まだお問い合わせにはつながりません。紹介された方は、その場ですぐに問い合わせるとは限らないからです。多くの場合、紹介された方は一度持ち帰ります。そして、名前を検索してホームページを見ます。
そして、プロフィールやサービス内容を確認したり、発信している媒体があれば、本当に自分の相談に合う方なのか、安心して問い合わせてもよいのか、紹介してくれた方の言葉が自分にも当てはまるのか、こうしたことを確かめてから、問い合わせるかどうかを決めます。これは、ご自身が誰かを紹介されたときも同じではないでしょうか。
信頼している方からの紹介であっても、一度はホームページを見る。サービスの内容や、どのような方なのかを確認する。紹介は、検討を始めるきっかけにはなります。
けれど、最後に行動するかどうかは、確認した先の情報によって決まります。ここで、お客様が伝えてくださった言葉と、ホームページに書かれている言葉がちぐはぐだったら、どうなるでしょうか。
きっと、紹介された方の中に、「本当に相談してもいいのだろうか」という小さな迷いが生まれます。この小さな迷いによって、お問い合わせが止まります。反対に、お客様が話してくださった言葉と、ホームページの最初にある言葉が一貫していたら、どうでしょうか。
「あの方が話していたのは、このことだったのか」「確かに今の自分に合っている」「ちょっと相談してみよう」となりますよね。紹介された方の確認は、迷うための確認ではなく、相談するための後押しに変わります。ですから、あなたの価値を伝えるための言葉ができたら、ホームページをすべて作り直す前に、まず、初めての方が最初に目に入る一箇所を確認してください。
ホームページの一番上、プロフィールの冒頭、SNSの自己紹介文といったところに、「どのような方の、どのような悩みを、どのような状態まで支えるのか」が分かる言葉はあるでしょうか。最初から完璧を目指す必要はありません。
まずは、どうしたら伝わるかなと考えをめぐらす。それが改善の第一歩になります。
最近のお客様一人から、一文をつくる
それでは、ここからは実際に、ご自身の一文を考えてみましょう。最初から「仕事全体を一文にしよう」としないことが大切です。仕事全体をまとめようとすると、扱っているサービスやこれまでの経験を、すべて入れたくなります。
すると、言葉が長くなり、対象も広がり、結局、誰に向けた言葉なのかが分からなくなってしまいます。まずは、「この方のお役に立てた」と感じているお客様を、お一人だけ思い浮かべてください。その方について、五つのことを思い出します。
一つ目。
その方は相談する前、何に困っていたでしょうか。
相談前の言葉や表情、実際に起きていた場面を思い出してみてください。
二つ目。
その方は、なぜご自身だけでは前へ進めなかったのでしょうか。
情報が足りなかったのか。選択肢が多すぎたのか。判断するための基準がなかったのか。状況を人に説明する言葉がなかったのか。ここを考えると、提供した価値がより見えやすくなります。
三つ目。
その方に対して、具体的に何を提供されたでしょうか。
実際の提供内容や期間、関わり方やプロセスなど、具体的に思い出してみてください。
四つ目。
関わった後、その方はどのような状態になったでしょうか。
成果の数字があれば、もちろん重要な変化です。ただ、数字だけでなくても構いません。迷わず判断できるようになった。抱えていた問題を順序立てて考えられるようになった。何をしないか決められた。次に取るべき一歩が分かった。不安の正体が分かり、落ち着いて行動できるようになった。こうした変化も、お客様にとって大きな価値です。
五つ目。
そのお客様が、相談前のご自身と似た方にあなたのことを紹介するとしたら、どのように話すでしょうか。
ここで、先ほどの四つの要素を使って一文にします。「どのような人が」「どのような状態で困ったときに」「どのような状態まで支えてくれる」「どのような専門家なのか」いかがでしょうか。
理解から、ご自身への適用へ
もしかすると今、言葉にしようとしてみたけれど、うまくまとまらないという方も少なくないと思います。そこで今回は、「お客様が語れる一文ナビ」というGPTsをご用意いたしました。やっていただくことは、難しくありません。
AIが投げかけてくれる問いに、一つずつ答えていただきます。そうすると、お客様が知人にそのままお伝えできる、あなたの価値を表す言葉が手元に残ります。この一文は、お客様だけに限らず、あなたが初めてお会いした方と名刺交換する際に添える一言としても活用できます。
本日のお話は、聞いて終わりにすると、「紹介には自分の価値を表す言葉が必要なんだな」と分かっただけで、現実はまだ動きません。概要欄にある「お客様が語れる一文ナビ」から、ぜひご自身の一文を一つつくるところまで、進んでみてくださいね。
さいごに
最後に、一つだけお伝えしたいことがあります。あなたが積み重ねてこられた仕事は、何か新しい価値を足さなくても、すでに誰かを支える力を持っています。これまで、一人ひとりのお客様に向き合ってきたこと。目の前の状況に合わせて、考え、判断し、対応してきたこと。お客様が困らないように、当たり前のように続けてきたこと。
その中に、選ばれてきた理由があります。ただ、その価値があなたとお客様の間だけに残っていると、次に必要としている方までは届きません。
だからこそ、お客様が誰かへ手渡せる言葉を、そっと用意しておく。あなたがいない場所でも、お客様があなたの価値を説明できるようにする。そして、その言葉を受け取った方が、後からホームページを見たときに、
「この方なら、自分のことを相談できる」と確かめられるようにする。それだけで、あなたが積み重ねてこられた仕事は、必要な方へ静かに届き始めます。紹介をお願いする必要はありません。ただ待ち続ける必要もありません。
まずは、お客様が伝えられるたった一文を、先に用意しておいてください。
それでは、最後までご視聴いただきまして、誠にありがとうございます。
KUMATAN HOUSEの伊東祐希でした。

